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「ピーターと狼」

しばらく、このブログの更新を途絶えさせてしまっていました。
更新を休んでいる間ずっと、ボウイさんの一人のファンとして、又、二人の息子たちの母親として、何かがしたいけれど、何をすればよいか分からず、常々思いあぐねていましたが、ボウイさんが子供達のためにしてきた仕事を紹介する記事を書き、子供達にも伝えたいと思い立ち、先ず最初にこの記事を書くことにしました。

セルゲイ・プロコフィエフが、「子供のための交響的物語」として作曲した「ピーターと狼」。台本はロシアの民話を基にプロコフィエフ自身が書き、初演は1936年5月2日にモスクワの児童劇場で行われました。

1977年、RCAはフィラデルフィア・オーケストラを率い新しいバージョンのリリースを考えており、ボウイさんに白羽の矢が立てられました。ボウイさんは7歳の息子へのクリスマスプレゼントにするため、この役を引き受け、ナレーション収録のため、77年の12月にニューヨークに飛んだと本人が後に語っていました。





私は、息子たちのために、ボウイさんのナレーションの台本の和訳をし、こちらで紹介することにしました。皆さんにも楽しんでいただければ嬉しいです。

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「ピーターと狼」 台本
セルゲイ・プロコフィエフ作、デヴィッド・ボウイ朗読

これはピーターと狼のお話です。

お話の登場人物はそれぞれ、オーケストラの様々な楽器により表現されます。例えば、小鳥はフルートによって演じられます。(このようにです。)こちらはアヒルで、オーボエで演じられます。猫はクラリネットです。ファゴットはおじいさんを表現します。狼はホルンです。そして、ピーターは弦楽器です。猟師の銃声はティンパ二が演じます。

座り心地は良いですか? それでは、始めましょう。

ある日の早朝、ピーターは門を開け、大きな緑色の草地へと出て行きました。

大きな木の枝の上に、ピーターの友達の小鳥が止まっていました。
「まったく静かだね、まったく静かだ。」
小鳥は陽気にさえずりました。そうだね、まったく静かだ。

ちょうどその時、あひるがひょこひょこ歩いて来ました。あひるは、ピーターが門を閉めなかったことを喜び、草地にある深い池で水浴びすることにしました。

あひるを見て、小鳥は草の上に飛び降り、あひるの隣に止まると、肩をすくませました。
「飛べないだなんて、君は一体どんな鳥なんだい?」
と彼は言いました。これにアヒルは答えて、
「泳げないだなんて、君は一体どんな鳥なんだい?」
と言いました。そして、池の中に潜りました。

アヒルは池を泳ぎながら、小鳥は岸辺沿いを飛び跳ねながら、彼らは言い争いを続けました。

突然、何かがピーターの注意を惹きつけました。それは、草むらの中をかき分けながら進んでいる猫でした。

猫は考えました。
「小鳥は言い争いに夢中だから、捕まえちゃいましょうっと。」
猫はひそかにフワフワした前足をかがませ、小鳥の方に這って行きました。

「気をつけて!」
ピーターが叫ぶと、小鳥はすぐに飛び上がり、木の中へ逃げました。一方、アヒルは池の真ん中から猫に向かってクワックワッと叫びました。猫は木の周りを歩いて考えました。「あんなに高くよじ登る甲斐はあるかしら? あそこにたどり着くまでには、小鳥は飛び去っているでしょうね。」

ちょうどその時、おじいさんがやって来ました。ピーターが草原に出て行ってしまったので、おじいさんは怒っていました。
「そこは危ない場所だよ。狼が森からやってきたら、どうするつもりだい?」

でも、ピーターはおじいさんの言葉に注意を払いませんでした。ピーターのような男の子は、狼を怖がったりはしません。

それでも、おじいさんはピーターの手を握り、門に鍵をかけて、家に連れて帰りました。

ピーターがいなくなるとすぐに、大きな灰色の狼が森から出てきました。

瞬く間に猫は木によじ登りました。アヒルはクワックワッと鳴き、慌てて池から飛び出しました。でも、アヒルがどんなに一生懸命走ろうとしても、狼からは逃げられませんでした。

狼は、アヒルにどんどん近づき、追い着こうとしていました。そしてとうとう、狼はアヒルを捕まえて、一口でアヒルを丸飲みしてしまいました。

そして、事態はこのように展開しました。猫がある枝に座り、猫からそう遠くはないところで、小鳥が別の枝に座っていました。
そして、狼は木の周りをぐるぐる歩いて回り、お腹をすかした目で二匹を見つめていました。

その間に、ピーターは、少しも怖がることなく、事の顛末の全てを門の後ろ側から立って見ていました。
ピーターは家へ走って行き、頑丈なロープを持ってきて、高い石壁をよじ登りました。
狼が歩きまわっていた木の枝の一本が、壁の上に伸びていました。

その枝をつかんで、ピーターは木の上に軽々と登りました。ピーターは小鳥に言いました。
「低く飛んで狼の頭の上で旋回して。捕まらないように用心してね。」

小鳥の翼が狼の頭にもうすこしで触れそうでした。一方、狼は怒って四方八方から小鳥に襲いかかりました。

小鳥の狼のからかい方といったら! 狼はどんなに小鳥を捕まえたかったことでしょう! でも、小鳥は利口で、狼は何ひとつできませんでした。

その間に、ピーターは投げ縄を作り、用心深くそれを下に降ろし、狼のしっぽを捕まえて、力いっぱい引き上げました。

捕まえられたと気付き、狼は縄から逃れようと必死で飛び跳ね始めました。

でも、ピーターは木にロープの別の端をくくり付けていたので、狼が飛び跳ねても、しっぽに巻き付いたロープがさらにきつくなるだけでした。

ちょうどその時、猟師が狼の痕跡を追い、道中で狼を狩りながら、森から出てきました。

しかしピーターは、木の中で座ったまま、こう言いました。
「撃たないで! 小鳥さんと僕はもう狼を捕まえています。こいつを動物園に連れていくのを手伝ってください。」

さて、想像してください。勝利の喜びに満ちた行列をただ想像してください。ピーターが先頭です。その後ろには、狼を引っ張る猟師たち。そして、行列の最後尾には、おじいさんと猫がいました。

おじいさんは、むっつりして頭を振り、こう言いました。
「いや、もしピーターが狼を捕まえていなかったとしたら? どうなっていたことだろう?」

行列の上では、小鳥が楽しそうにさえずっていました。
「ああ、ピーターと私はなんて勇敢なんでしょう! 私たちの獲物を見てください!」

そして、もし誰かがとても用心深く耳を澄ましたとしたら、狼のお腹の中でアヒルが鳴いているのが聞こえることでしょう。というのは、狼は急いでアヒルを生きたまま丸飲みしてしまっていたからです。

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ピーターと狼、確か学校の音楽の授業で聴いた覚えがありますが、それは確かナレーション付きではなかったのではないかと思うのですが、私の記憶が定かではありません。

子供たちのためのデヴィッド・ボウイというテーマでも、これから少しずつ更新を続けたいと思いますので、宜しくお願いします。

参考ページ:

コメント

  1. こんにちは。ピアノを教えている者です。この曲集について調べるうちにこちらに辿り着きました。ボウイさんとの関わりは知らなかったです。。ロシアの作品をアメリカのオーケストラで演奏し、あのボウイさんがナレーションを!政治家たちに聴かせたいですね。

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